「訴訟費用は被告の負担」と書いてあるのに、戻ってきません
職場での暴行の記録 費用と書面編 4
私は、印紙6,000円と郵券6,000円を自腹のままにしています。
判決には、はっきり「訴訟費用は被告の負担とする」と書いてあります。 最終的に請求した10万円は、全額認められました。
それなのに、なぜ戻ってこないのか。私はしばらく、ここが分かっていませんでした。
調べたら、理由がありました。知らないと必ずつまずくところなので、分けて書きます。
1. 判決は「誰が負担するか」しか決めていません
金額は決めていません。
「被告の負担とする」は割合を決めた文であって、いくら払えという文ではありません。
2. だから、自動的には戻ってきません
戻してもらうには、別の手続きが要ります。
用語
訴訟費用額確定処分
訴訟費用の金額を確定してもらう手続きです。第一審の裁判所書記官に申し立てます(民事訴訟法71条1項)。
申立書と、費用の内訳を書いた計算書を出す。相手が意見を出す。書記官が額を決める。その決定が出てはじめて、相手に請求できるようになります。
3. 実務では、やらない人が多いようです
手間のわりに、金額が小さいからです。
私も、結果的にやっていません。 12,000円を取り戻すために、また書面を作って郵送して、相手の反論を待って…… というのは、割に合わないと判断しました。
4. そもそも「訴訟費用」に弁護士費用は入りません
ここも誤解しやすいところです。
訴訟費用は法律で範囲が決まっていて(印紙・郵便費用・証人の日当など)、 弁護士費用は原則として含まれません。
アメリカの裁判のイメージで「勝てば弁護士費用も相手持ち」と思っていると、そうはならない、ということです。
だから、こう考えるのが正確だと思います
印紙と郵券は「勝てば戻るお金」ではありません。 「取り戻すのに手間がかかるお金」です。
最初から必要経費として計算しておくほうが、判断を間違えません。
遠くの相手でも、地元の裁判所に出せました
もう1つ、費用に直結する話を書いておきます。
相手は別の県に住んでいます。 それでも私は、自分の住まいの近くの簡易裁判所に訴状を出し、そこで判決をもらいました。
慰謝料のような金銭の支払いを求める請求は、 債権者(請求する側)の住所地の裁判所にも管轄が認められる場合があるとされています。
ただし、必ずそうなるとは限りません。 どこに出せるかは、必ず裁判所の窓口で確認してください。 遠方の相手を地元で訴えられるかどうかは、費用にも負担にも直結します。