私の考え —— 2件やってみて、思ったこと
ここから先は、記録ではありません。 他のページは手元の書類から書き写した事実ですが、このページだけは私個人の意見です。 根拠は私の体験だけで、一般論でも、法的な解説でもありません。
ここまで読んで、もっと熱い話を期待していた人がいるかもしれません。
私がやってみて突きつけられた、いちばんドライな現実を書きます。
民事訴訟は「謝らせる手続き」ではありませんでした
「謝ってほしい」ではなく、「お金をくれ」。
やってみたら、それだけでした。それ以上でも、それ以下でもありませんでした。
だから私は途中で、「お金が欲しいわけじゃないなら、これはやる意味がない」と、 自分を納得させる必要がありました。
相手が苦しんだかどうかは、分かりません
刑事をやって、3年後に民事をやりました。
その間、相手にどれだけストレスがあったのかは、正直、私には分かりません。
「これで相手が苦しんでいるはずだ」と思いたかった時期もありました。 でも、そこは分からないし、民事において重要でもありませんでした。
結局は、正当な権利としてお金をもらう。それだけのことでした。
怒りを外に置かなければ、私は進めませんでした
腹わたが煮えくり返って、どうしようもなくなる時期もありました。
でも、日本の法は、私が思っていたよりずっとドライなプロセスでした。 感情ではなく、相場で額が決まりました。
実際、私の裁判で裁判官から言われたのは、この一言です。
裁判官A相場は10万円です
私がやったのは、その怒りを一旦、外に置くことでした。
2件とも、大ごとにはなりませんでした
言いふらせば、今度は私のほうが名誉毀損になり得ます。 だから、誰にも大っぴらには話していません。
その結果どうなったかというと、この2件は最後まで、相手と私の間だけの小さな出来事でした。
そして、動いた数字はこれだけです。
| 誹謗中傷 | 相手に科料9,900円(民事は請求で止めたので、支払いはありません) |
|---|---|
| 職場での暴行 | 相手に罰金10万円。民事で111,753円が私に振り込まれました |
誹謗中傷のほうは、初めてだったので相当な手間がかかりました。 暴行のほうは、やり方が分かっていたぶん、そこまでではありません。
それでも、かけた時間に対して、動いた金額は大きくありません。
いまの制度は「やったもん勝ち」だと思いました
加害者になったほうが得なのではないか。2件を終えて、そう思う部分が大きいです。
相手が失ったのは、科料9,900円と、罰金10万円と、111,753円です。 私が使ったのは、気づいてから終わるまでの年月と、そのあいだの手間です。
釣り合っているとは思えませんでした。
結局、お金で決まると思いました
自分が経験したことを踏まえて振り返ると、加害者の側に十分なお金があれば、結果は変わっていたと思います。
- 起訴される前に「これだけ渡すから被害届を取り下げてほしい」と話をつけられたら、 起訴されず、有罪にもならず、前科もつきません
- 仮に前科がついたとしても、民事は相場どおりの金額を払えば、それで終わりです
逆から見ると、請求する側が相場より高い金額を求めても、裁判所は認めません。 よほど特別な事情がない限り、そうなると思います。 相手に弁護士がついていなくても、「相場と違う」と言い続けていれば、相場に落ち着くのだろうと思いました。
2件とも、相手の身元が完全に分かっていました
どちらも職場でした。 つまり、住所も、電話番号も、氏名も、経済状況も、完全に明らかな状態だったということです。
だから楽だった、とも言えます。
皆さんも、職場のような、自分の身元が完全に明らかな場所で犯罪行為を行うのは、絶対にやめたほうがいいです。 少し考えたら分かると思います。
相手が「無敵の人」だったら、どうにもならないと思いました
私の2件は、相手が会社員と個人事業主でした。 だから、少ないながらも回収が見込めました。
でも、暴行にしても誹謗中傷にしても、「無敵の人」——無職の人にやられたと仮定したら、 もうどうしようもない、と思ってしまうんです。
たとえば相手が生活保護だったとして、民事で10万円ぽっちの小さな金額でも、 実際に取れたかどうかは、正直、自分では分かりません。
科料や罰金になったとしても、無敵の人すぎてダメージなんて入らないのではないか。 そう思ってしまう部分もあります。
ここは、いまの制度では埋まらない穴だと思っています。
やり残したことが、2つあります
ひとつは、会社に対する請求です。
暴行は業務中に起きたことです。だから、会社に対して安全配慮義務違反で民事をやりたいという気持ちはありました。
ただ、調べた範囲では難しそうだったので、諦めました。
もうひとつは、訴訟費用の請求です。
判決には「訴訟費用は被告の負担とする」と書いてあるのに、印紙代と郵券は戻ってきていません。 別に訴訟費用額確定処分という手続きを踏む必要があるからです。
金額が小さいので優先度は低いのですが、手続き自体は難しそうではありません。 やれるなら、やりたいと思っています。
それでも、出したほうがいいと思っています
かけた労力と、戻ってきた金額は、釣り合っていません。
それでも私は、法治国家の国民である以上、やるべきことなのではないかと思うようになりました。
- 親告罪なら、告訴状をきちんと出して、起訴してもらう
- そうでなければ、被害届を出して、起訴してもらう
相手に対して特別な感情が無いのであれば、これは義務に近いのではないか、と思ってしまうのです。
私ひとりがやったことは、小さな出来事です。 でも、同じことをする人が増えれば、加害者の側にブレーキがかかる場面が増えるのではないかと思っています。
ただし、そのブレーキも、無敵の人には効きません。 そこだけは、最後まで無力だと感じました。
事実の記録のほうは、こちらです。
- 爆サイ.comに実名で誹謗中傷されたら、どうなるか(全20話)
- 職場で殴られたら、どうなるか(全24話)